組織活性化診断「Revital」

組織活性化診断「Revital」を用いた仮説とアクションプランの立て方【C社の場合】

組織活性化診断を行っただけでは、何の意味もありません。

スコアが高いから良い、低かったからダメというわけでもありません。

診断の結果から、具体的にどこが課題なのか?大きな原因は何なのか?どこに原因が潜んでいるのか?等を読み解き、仮説を立て、問題の本質を探ることが必要です。

そのうえで、仮説に基づいたアクションプランを策定し、継続して修正をくりかえしながら実施することで組織が変化していきます。

今回は物語にも登場したC社を例に挙げて、仮説を立てていきます。

→C社の実際のレポートはこちら

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まずは全体集計を眺め、当たりをつけていきましょう。

正直、全体的にあまり良いスコアではありません。

とはいえ、すべての項目を問題として捉えて対応するのは、あまり良い方法ではありません。

この結果となっているセンターピンである問題の本質を探っていきます。

まずは平均に比べ大きく低かったり高かったりするスコアの項目に着目します。

今回のC社の場合、「トップマネジメント」のスコアが30点と低いスコアとなっています。

また、回答比率を見ると、【どちらかと言えばそう思わない】が49%、【そう思わない】が33%であり、全体の82%がネガティブ回答となっています。

このあたりに、何かが潜んでいそうです。

「トップマネジメント」の項目は、他の項目に比べても、組織に対する影響度の高い項目ですので、【個別項目】をもう少し詳しく見ていきましょう。

個別項目集計の表を見てみると、まず一番上の項目の「トップ・役員から会社の目指す姿・方向が明確に示されている」のスコアが26点と中でも低いスコアになっています。

レポートを見る際には一つ注意が必要です。結果として表れているものは「事実」として「従業員がそう感じている」ということの認識が必要です。

もし、C社長が今回の結果を見て、「そんなことは無い!私はいつも会社の向かう方向を示している!」と思っていたとしても、データとしてはC社長の認識と従業員の意識の間に乖離を示しています。集計を見る際にはそういった普段の「自身の思い込み要因」にも目を向けることが必要です。

では何故、このようなスコアになっているのか?少し考えてみましょう。

物語の中では、フィードバックを行う際に今回はまずC社長に会社の方向性を示すためのビジョンが実際にあるか?を確認しました。

物語の中(Story3)で、コンサルタントがC社長に「どうなりたいか?」を尋ねた場面がその確認作業です。

その結果、C社長は質問に対して答えに詰まってしまいました。

つまり、会社をこうしていきたいといったビジョンが曖昧である、そしてトップの意思が従業員にうまく伝わっていない可能性があると仮説が立てられます。

そうした場合、次に見るべき項目は「意思伝達」の項目から課題を探ることになります。

では、実際に「意思伝達」の項目を見てみましょう。

集計結果を見てみると、

「会社の方針に基づいた行動・考えが全社員に浸透している」が24点、ネガティブ回答が94%

「会社の方針や重要伝達事項が、漏れなく、タイムリーに伝わってくる」が26点、ネガティブ回答が91%

と、やはり、トップ→現場への意思伝達に課題があることが分かります。

しかし、全体を見てみると項目毎でスコアにバラつきが見られます。

これは何故なのでしょうか?

少し疑問が残ります。

この原因を探っていくために、役職毎で切り分けたクロス集計の表を見ていきましょう。


※クロス集計データはかなり枚数が多くなってしまうため、ダウンロードしていただいたC社のレポートデータには入っておりませんのでご了承ください。

まずは1番目の項目の「自分が為すべき仕事が何なのかを理解し行動できている」ですが、下位役職層に行くほどポジティブ回答の比率が増えています。

これは一体どういうことなのでしょうか?

他の項目も見て少し考えてみましょう。

2番目の項目「会社の方針に基づいた行動・考えが全社員に浸透している」の項目に関しても、全体でも低いスコアではありますが、前の項目と同様に下位役職層に従ってスコアが上がっています。

回答比率に関しては管理職層の100%がネガティブ回答、中間管理職においても91.7%、一般社員も94.5%となっています。

ここで一番気になるのは、管理職層のすべてがネガティブ回答という点です。

トップ⇔管理職層に課題がありそうです。

3番目の項目「指示は抽象的ではなく、具体的で一貫性がある」に関しては、管理職層が27点と全体スコアに比べ低いスコアであり、中間管理職層は50点と高く、一般社員層は44点と全体スコアと同様の点です。

つまり、トップ→管理職層への指示には納得感が低く、管理職→中間管理職層への指示には納得感は高めであると言えます。

4番目の項目「部署内での情報共有は十分にできている」に関しても、中間管理職層のスコアが58点と高くポジティブ回答も66.7%と管理職層と中間管理職層の従業員は情報共有は十分にできていると考えています。

しかし、一般社員においては、42点と全体スコアより低いスコアであり、ポジティブ回答も36.1%と半数を大きく切っています。

この結果より、管理職層と中間管理職層との間の結びつきの強さが推測されます。

また中間管理職層⇔一般社員においては、中間管理職層の数値と一般社員の数値に乖離があるため、【部署等において差がある】または、【中間管理職層は十分にできていると思いこんでいるが、実際にはできていない】、【社歴によって差がある】等の可能性が考えられるので、別途、社歴毎や部署毎等のフィルタで切り分けたクロス集計で局地的な状態を調べる必要があるかもしれません。

5番目の項目「報告・連絡・相談がスムーズに行われている」に関しては、管理職層が53点と高く、続いて中間管理職層42点、一般社員37点と徐々に低いスコアとなっていきます。

この結果からは、管理職層と中間管理職層の結びつきが強い事と、中間管理職層と一般社員との間に何か問題がある、もしくは局地的に問題があることが推測できます。

そして最後に6番目の項目「会社の方針や重要伝達事項が、漏れなく、タイムリーに伝わってくる」に関しては、全体的にネガティブ回答が占めており、管理職層の100%がネガティブ回答であり、ここでもトップ→管理職へ伝達がうまくできていないことが分かります。

また、なぜか中間管理職層にだけポジティブ回答が集まっています。

断定はできませんが、局地的に発言力・求心力の強い管理職の方が居り、その下の中間管理職の方がトップからの伝達事項とは異なった伝達事項を重要伝達事項として捉えている可能性があります。

ここまでの結果を見て改めて考えると、1番目の項目である「1番目の項目の「自分が為すべき仕事が何なのかを理解し行動できている」が下位役職層に従ってポジティブ回答が多くなっている事の推測としては、局地的にトップの意思とは関係なく、現場が独自の意思を持ち、思い込みにより【本来為すべき仕事を勘違いしている】可能性が考えられてきます。

詳しく探るためには、まだ他の項目との関連性も調べる必要もありますが、ひとまず以上の結果から仮説構築を行ってみます。

仮説としては、「2代目社長のジレンマ」の状態が考えられます。

C社の現場では、先代の時代から働いている従業員の方が先代のやり方に固執している可能性があると考えます。

先代の時代から働いている人たちの結びつきは強く、現場で独自の意思を持って動いているのではないかと想像できます。

それは部署毎・年齢毎等のフィルタ解析で更に深堀りして調べることで明確化するかと思います。

また、そのような状況に対し、2代目社長であるC社長は、会社の方向性や具体的な事業計画等を示すことができておらず、先代の影響を強く受けている管理職の方を中心とした従業員に批判を受けている状態なのではないでしょうか。

そして、このような仮説から大きく影響を与えるセンターピンを考えた場合、今回の物語のように「C社長のマインドセット」と「経営ビジョンの構築と管理職層との共有」が組織に大きな影響を与える、まず最初に行うべきアクションプランとなったということです。

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